お墓を建てる際、意外と時間をかけて悩まれるのが「石に刻む文字」です。
「代々受け継ぐお墓だから、伝統的な文字が良いの?」
「洋型のお墓にしたから、自分たちの好きな言葉を入れたい」
実は、お墓に刻む文字に厳密な決まりはありません(※寺院墓地など一部を除く)。だからこそ、ご家族の想いを形にすることができるのです。
この記事では、石材店店主の視点から、基本的な「文字のルール」から、最近人気の「漢字一文字・メッセージ」、そして宗派による違いまでを分かりやすく解説します。
1. お墓の「正面」に彫る文字の基本パターン
お墓の顔となる「竿石(さおいし)」の正面に彫る文字は、大きく分けて3つのパターンがあります。
① 家名(〇〇家之墓)
最も一般的な形式です。和型墓石で多く見られます。「〇〇家之墓」「〇〇家」と彫刻します。代々継承していくお墓として、最も格式高い印象を与えます。
② 題目・名号(宗派ごとの言葉)
信仰を重んじる場合、宗派ごとの「お題目」を彫ることがあります。
- 浄土真宗・浄土宗: 南無阿弥陀仏
- 日蓮宗: 南無妙法蓮華経
- 真言宗: 南無大師遍照金剛(または梵字)
- 曹洞宗・臨済宗: 南無釈迦牟尼仏(または〇〇家之墓)
③ 好きな言葉・メッセージ
洋型墓石やデザイン墓石で主流になっているのが、自由な言葉です。宗教色にとらわれず、故人の人柄や家族の絆を表現します。
2. 【ランキング】洋型墓石で人気の「漢字一文字・二文字」
当店でもよくご相談いただく、人気の言葉をご紹介します。短い言葉ほど、石の質感と相まって力強い印象になります。
| 順位 | 文字 | 込められた想い |
| 1位 | 絆 | 家族のつながりを大切にしたい |
| 2位 | 愛 | 慈しみの心、最愛の人へ |
| 3位 | 感謝 | ご先祖様や家族へのありがとうの気持ち |
| 4位 | 和 | 家族の和、平和への願い |
| 5位 | 心 | 穏やかな心で眠ってほしい |
その他にも、「夢」「道」「想」「ありがとう」「やすらぎ」なども人気です。
また、桜や百合などの「花のイラスト」を文字と一緒に彫刻するケースも非常に増えています。
3. 正面以外には何を彫る?(建立者・戒名など)
お墓には正面以外にも彫刻すべき情報があります。
- 建立者名と建立日:通常、墓石の側面か裏面に彫ります。「令和〇年〇月吉日 〇〇 〇〇 建之」のように、いつ誰が建てたかを記録します。
- 戒名・法名(または俗名):お墓に入っている方の名前です。墓誌(別の石板)がある場合はそちらに彫りますが、ない場合は墓石の側面や裏面に彫刻します。亡くなった年月日や享年も合わせます。
- 家紋:水鉢(花立の間にある石)や、和型墓石の上部に彫刻するのが一般的です。
4. 印象がガラリと変わる!「書体(フォント)」の選び方
同じ「絆」という文字でも、書体によってお墓の雰囲気は驚くほど変わります。
- 楷書体(かいしょたい):一画一画を崩さずに書く、最も標準的で読みやすい書体。誠実な印象。
- 行書体(ぎょうしょたい):少し崩した流れるような書体。優美で柔らかい印象。
- 隷書体(れいしょたい):お札などにも使われる、横長でどっしりとした書体。格式高く、和型にも洋型にも合います。
- 自筆の文字:故人が書いた書や、ご家族が書いた文字をそのまま型取って彫ることも可能です。世界に一つだけの想いがこもったお墓になります。
5. まとめ:文字選びに迷ったら「拓本」や「シミュレーション」を
一生に一度のお墓づくり。「変な文字を入れて後悔したくない」と思うのは当然です。
「この文字を彫りたいけれど、お墓の形に合うかな?」
「宗派的に問題ないか確認したい」
そのような疑問があれば、石のプロである清水石材店が親身にアドバイスいたします。
まだ具体的でなくても構いません。まずはお気軽にご相談ください。
